2019年 01月 29日
日本歯科医学会がハート舌は切開手術の対象と発表しました |
日本歯科医学会は2018年の保健改訂で「口腔機能発育不全症」の病名と管理料が認められたのに伴い、歯科医療関係者向けに「口腔機能発達評価マニュアル」を発表しました。口腔機能発育不全症とは、「食べる機能」、「話す機能」、または「呼吸する機能」の発達が不十分な状態を指します。そこで日本歯科医学会は新病名の基本的な考え方の統一図るために、「食べる機能」、「話す機能」、「呼吸する機能」について評価法・検査法と対応策について解説した評価マニュアルを作成した訳です。
このマニュアルの中で「舌の先端がハート形をしている」いわゆる”ハート舌”は、各年齢層とも、保護者や保育関係者が注意すべき徴候に挙げられました。また歯科医療関係者がチェックすべき項目には「舌小帯の付着位置の異常」の確認が挙げられました。
歯科医療関係者が取るべき対応は、乳児前期で「授乳障害が生じる場合は切除術」、乳児後期で「摂食機能障害が生じる場合は切除術」、幼児期で「摂食機能・構音機能障害が生じる場合は切除術」、また学童期で「摂食機能・構音機能に障害がある場合は切除術」となっています。それぞれに「軽度の場合は経過観察」と付記されていますが、実質的には、”ハート舌”があり、哺乳不良、吸啜不良、体重増加不良、咀嚼や嚥下不良、発語不明瞭などの症状が明らかであれば、全年齢層を通じて舌小帯切開を推奨していることになります。
これで日本の舌小帯短縮症の診断・治療基準もやっと欧米並みになりました。今後は乳幼児の歯科健診はこのマニュアルに沿って行われるはずですので、小児科をはじめ、舌小帯短縮症の診療に係る各科の医師には、歯科医と齟齬を来さぬ対応が求められることになります。
参考文献:
1. 日本歯科医学会:口腔機能発育不全症に関する基本的な考え方(http://www.jads.jp/basic/pdf/document_03.pdf)
2. 日本歯科医学会:小児の口腔機能発達評価マニュアル(http://www.jads.jp/date/20180301manual.pdf)
by tongue-tie
| 2019-01-29 15:58
| 医療
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